健康で生産性の高い組織をつくる働き方改革 ~秘訣は睡眠の技術~
企業事例ご登壇:株式会社NTTデータ 第二公共事業本部 第四公共事業部長 西村 忠興様
残業時間の上限規制や勤務間インターバル制度の努力義務を盛り込んだ働き方改革関連法が施行され、社員の休息や健康を重視する流れが拡大しています。労働生産性向上、メンタルヘルス対策、エンゲージメント向上、創造性発揮において重要な要素が「睡眠」です。
講演では睡眠を効果的に取り入れて生産性を上げた企業の事例、働き方改革の多種多様な業界の事例、今後の政府の方向性をお伝えしました。
(開催日:2020年5月14日)
まず、ワーク・ライフバランスの小室氏より「なぜ働き方を今変える必要があるのか」「睡眠がどういう大きな背景の中で必要となってきているのか」をお伝えしました。
現在の日本は、人口構造が経済の重荷になり、働く人よりも支えられる人が多くなる状況に直面している「人口オーナス期」です。その中において企業が勝ち続けていくためには、男女ともに働き、育児だけでなく介護で時間制約も進んでいく中において、短時間でミスなく質の高い仕事のできる生活環境が重要になってきます。
また「人口オーナス期」の市場においては、企業はイノベーションを起こし続けていくことが勝つために必要です。そのためには、多様な人材がリラックスしてクリエイティブな発想を出せる状態で仕事をしていくことが必須になってきます。
「人間の脳は朝起きてたった13時間しか集中することができない」
短い睡眠時間ではストレスが蓄積してしまい、よい発想が生まれてきません。
イノベーションを起こして勝ちにいく、そのためには、働き方で人材の多様性を排除しないように、そして、しっかりと睡眠を取れる環境にしていくことが必要です。
すでに様々な企業が睡眠に着目して取組みをスタートしており、トップ自らが実践している企業も増えてきています。睡眠不足を自慢する時代は終わりました。
そして、これから取り組んでいくべきは「勤務間インターバル」です。その会社なりのルールを、部署ごとにできるところからでも作っていくことが大切です。
経営者・人事の視点からも「勤務間インターバル」は特に繁忙期のときに非常に重要になります。労働時間上限を作っただけの状態では、月の上限は超えないようにしつつも連続した長時間労働は実施できてしまうので、現場で繁忙期に過労状態が起きる可能性があります。1日ごとのインターバルを設けることが、過労を本質的に防ぐことに繋がっていきます。
次に、ニューロスペース・小林氏から、これまで7年間にわたり1万人以上のビジネスパーソンの睡眠改善に取り組んできた知見から、企業で起きている課題と睡眠の必要性、企業での取組み事例をお伝えしました。
直近80社超の企業の声を聴く中で、新型コロナウイルス感染症の影響により多くの人事・健康経営担当者はこれまでにない悩みに直面しており、出勤・在宅勤務の従業員ともに働き方や心身の健康への影響を懸念していることがわかってきました。
有事においても平時にあっても、心身の健康やパフォーマンスを発揮していくうえで、睡眠は非常に重要なものとなります。従業員がネガティブな思考を持ち始めたり、パフォーマンスの低下が見られた場合、その背景には睡眠の可能性があることを認識しておく必要があります。
生産性の高い組織にしていくためには、クロノタイプといわれる朝型・夜型など、本来1人ひとりに備わっている睡眠特性を尊重したうえで働き方を選択していけることが大切です。例えばフレックスやコアタイムなどの制度を設けるなどが挙げられます。
他にも、仮眠など休息の時間を戦略的に取り入れることで午後の生産性向上に繋げていくことができるなど、働き方改革を推進される方には特に理解いただきたいと思います。
企業として取り組んでいくこととして、従来の染みついた生活習慣や働き方は睡眠の質に大きく影響を与えており、従業員が正しい知識と自分の睡眠を理解できるきっかけが必要です。そのきっかけが1人ひとりの意識と行動の変容に繋がっていきます。
働き方や生活スタイルが大きく変わるコロナ禍の今、セルフケアと併せて組織全体で理解を深めフォローすることができるラインケアが重要になってきます。
取組み企業事例としてご登壇いただいたNTTデータの西村様は「事業課題と睡眠の取組み」なぜこのタイトルをつけたのかというところからお話をスタートされました。
企業の中で睡眠の改善をするという話をすると、楽しそうだね、余裕があるね、まだまだそんな反応です。私たちは切迫した組織の課題を解決するために、会社からトップダウンではなく、事業部でボトムアップの取組みとして睡眠に取り組むことを決めました。
働き方改革の取組みは進み、総労働時間はかなり減少してきました。ただし、その実態としては、残念ながら自己投資の時間を削って、総労働時間を減少させています。
取り巻く環境や求められるものが変わっていくスピードが早い中で、新しいことを生み出していく必要があるのに、目の前の作業に没頭していては難しい、職場にいる時間にいかに学びを多くするかということを悩んでいました。
業務の自動化、会議の削減、色んなことに取り組んできた中で、まだやってきていない部分があることに気づきました。それが集中できる時間を増やすということです。
例えば、生産性を2倍にしよう!といって、今まで8時間でやっていたものを4時間にしようとするのはかなりハードルが高いように感じます。でも、集中できる時間を年間で60分増やそう、1ヶ月5分ずつ延ばしていこうというと、それならやれるかもしれないという気持ちになります。
集中力をマネジメントするということが非常に重要ではないかと気づき、取組みをスタートさせた中の一つが睡眠(休息)でした。取組みをスタートしたとき、睡眠の関心は高い、でも睡眠に満足している人は低いという状態でした。
スポーツの世界ではパフォーマンスを出すためには練習が必要で、栄養補給や休息もトレーニングのうちです。仕事も同じではないでしょうか。職場に座っているときだけ頑張れではなく、休養にも目を向けた方がよいと思っています。
今年度はさらに新入社員や労働負荷が大きい社員に絞ってやろうと思っています。特に今年度の新入社員は入社からずっとリモートワークが続いているので、まず睡眠を通じて社会人としての生活リズムを作る、そして誰もがとる睡眠を基軸にコミュニケーション手段としても活用することを考えています。
本講演では120名超の人事担当者の方にご参加いただきました。いただいたコメントを一部ご紹介いたします。
・睡眠はメンタルヘルスに大きく関係していることを改めて感じました。今後、 在宅ワークがフィットしてい る方とフィットしていない方や、従業員の睡眠状態の把握も必要だと感じました。
・睡眠は平等かつ全員の関心事であり、かつ効果が大きいことがわかりました。
・ 睡眠という視点で働き方を考えるということのお話を初めて聴かせていただき、健康経営に直結していることに気づきました。
・クロノタイプというものがあることがわかり良かったです。早速従業員に周知していきたいと思います。
今後とも、健康で生産性の高い組織づくりのサポートに向けて取り組んでまいりますので、ニューロスペースならびにワーク・ライフバランスからのお知らせにご注目いただけますと幸いです。
▼株式会社ワーク・ライフバランス
ニューロスペースでは、多様な業種や勤務体系で働く従業員の睡眠課題・勤務実態・生活習慣を把握し、それぞれの課題に即したソリューション提供をしております。
働き方改革・健康経営の一環として睡眠の取り組みをご検討されている企業のご担当者様は、ぜひお問い合せください。
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