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2023年度睡眠負債実態調査レポート

6,123人の睡眠レポートから分かった産業現場で起きている睡眠の現状とビジネスパーソンが実践している生活習慣の傾向および考察

· お知らせ,レポート,お役立ち情報

睡眠改善を通じて企業の健康経営を支援するSleepTech(スリープテック)事業を展開する株式会社ニューロスペース(本社:東京都墨田区、代表取締役:小林 孝徳、以下 ニューロスペース)は、2023年に10代〜60代のビジネスパーソン6,123人から取得した睡眠レポート(パーソナル睡眠レポート MySleep)の結果をもとに、産業現場で働く人々の睡眠実態を多方面から調査および集計をいたしましたのでご報告申し上げます。

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■ 調査概要

  • 調査対象:47都道府県内在住の日勤およびシフト勤務の就業者(10代~60代の男女)
  • 調査対象データ取得期間:2023年1月~2023年12月
  • 調査機関:株式会社ニューロスペース(自社調査)
  • 調査方法:当社睡眠サービス「パーソナルスリープチェックMy Sleep」利用者
  • 募集方法:パンフレットやメールでMySleepの概要を告知しての任意回答
  • サンプル数:6,123人

※本資料に含まれる調査結果をご利用の際には、お問い合わせフォームからご連絡ください。
https://www.neurospace.jp/contact

■ 結果概要

1. 73.39%(4,494)のビジネスパーソンが睡眠に満足をしていない。
2. 平日と休日の睡眠時間の差は1.2時間。
3. 睡眠課題は年齢を重ねるごとに中途覚醒が多くなり、起床困難は若年層に多い、寝ても疲れがとれない熟睡困難は全年代でまんべんなく分布し、入眠困難や日中の強い眠気においても一定割合存在する。
4. 睡眠に影響を与えるほどのストレスを感じている方は21.1%(1,291)
5. 睡眠に影響を与える生活習慣では、悪い習慣である、ベッドでのスマホ利用が68%(4,164)、夕方以降の仮眠が36%(2,204)、寝る直前の食事が44%(2,694)、寝る直前のアルコール摂取が36%(2,204)、良い習慣である、朝に光を浴びるが62%(3,796)、朝食を食べるが79%(4,837)、お風呂にしっかり浸かるが46%(2,817)
6. 睡眠判定結果A〜Eと睡眠時間および生活習慣は正の相関がある

 

■ 詳細説明

・属性と性別

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6,123人の内65.6%(4,017)が男性、34.0%(2,082)が女性、0.4%(24)が回答しない。年齢の分布は50代男性が最も多い層となり、女性では40代後半から50代後半が多い。

 

・クロノタイプ分布

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今回は朝型が39.23%、中間型が38.53%、夜型が22.24%でした。

クロノタイプは睡眠時間と同じく個人によって最適解が異なり、先天的に遺伝子で決まっているので後天的に変えることはできません。一方で年齢が上になるほど朝型に移行する傾向があります。

【考察】
自分が朝に強いのか、夜に強いのかを知ることで仕事の生産性やパフォーマンスを最大化させることが可能になります。どれが良いとか悪いではなく、各々にメリットとデメリットがあります。朝型の方のメリットは文字通り早寝早起きが得意ですが、デメリットとしては夜更かしなどで一度リズムを崩してしまうと元の正常なリズムに戻すのに数日時間を要してしまう傾向があります。

夜型の方のメリットは時差ボケ調整が得意ですが、デメリットとしては夜になかなか眠気を感じにくいので出社時間が決まっている企業の場合には必然的に起床時間も決まるので、何もしないと自然と睡眠不足に陥ってしまいます。

中間型の方のメリットは朝型と夜型どちらにでも器用に調整はしやすいですが、身体にかかっている負荷を感じにくいというデメリットがあるので頑張り過ぎには注意が必要になります。

 

・睡眠満足度

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「最近のご自身の睡眠に対する満足度として当てはまるものを選択してください。」という設問に対して、2023年のビジネスパーソンの睡眠満足度は73.39%(4,494)の方が睡眠に対して不満を抱えており、2022年の睡眠不満足度の65%と比べると悪化しました。

【考察】
睡眠満足度が悪化した原因としては、コロナ感染症が落ち着き出社をするビジネスパーソンが増えたことから通勤時間が増えた結果、睡眠時間が不足したことが大きな要因の1つと考えられます。同時にリアルでの会食が増えたことなどによる生活習慣のリバウンドも要因と考えられます。

 

・睡眠による日中の機能障害

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「日中の支障に睡眠が影響していると感じている場合、そのレベル度合いを教えてください。」という設問に対して「日常生活が困難なレベルで支障を感じる」「かなり支障を感じる」と回答された方は全体の4.17%(255)になりました。なお、日中の強い眠気により昼間の生活や仕事に支障が生じるのは機能障害といわれ、これが頻繁に何週間も連続する場合には、睡眠時無呼吸症候群や不眠症の疑いがあることから医療保健スタッフへのご相談されることを推奨します。

 

・平日と休日の就寝時間の分布

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就寝時間は、平日はおよそ23時〜深夜1時の間に寝ている方が多いですが、休日は1時〜2時、2時以降に眠る方が増える傾向にありました。

【考察】
休日は翌日の仕事がないことから、夜更かしをするビジネスパーソンが多いのが現状です。その際にスマホやTVなど、明るい光を発する電子機器の利用によりメラトニンの分泌が減少して睡眠の質に影響を及ぼし寝ても疲れがとれない熟睡困難の大きな原因になります。

 

・平日と休日の起床時間の分布

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起床時間は平日と休日で顕著に特徴が表れました。平日はおよそ5時〜8時の間に起きている方が多く、9時以降はほぼなしという結果になりました。

一方、休日になるとおよそ6時〜10時くらいになだらかに山が後退しています。特に6時〜7時と8時〜9時が、平日と休日で大きな差が出ています。

【考察】
平日は翌日に仕事があり出社時間も決まっている故に起床時間が固定されているので通勤時間や朝食や身支度やお弁当を作るなどを考えると6時台に起床する方が多い傾向と考えられます。一方で休日は翌日の仕事がないことから、上述した就寝時間の後退と同時に起床時間の後退も発生すると考えることができます。起床時間のずれは翌週の月曜日のブルーマンデー症候群を悪化させる傾向にあるので、理想としては平日も休日も同じ時間に起床するのがよいと考えます。またクロノタイプの違いによってもこの起床時間は異なってきます。

朝型の方は比較的遅く寝て睡眠時間が不足していても同じ時間に起床する傾向にあります。一方で夜型の方はまず平日休日問わず早く起床することが苦手な傾向にありますので、平日の蓄積した睡眠負債や疲労感以外にもクロノタイプが関係していると考えられます。このような方は特に午前中を中心に太陽光をたくさん浴びることで体内時計を前進させることで、夜早いタイミングから眠気を感じさせることが期待できます。

 

・平日と休日の睡眠時間の差(社会的時差ボケ Social Jetlag)

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平日の蓄積した疲れを時間的に余裕がある休日にまとめて解消する多くのビジネスパーソンが実施している二度寝や寝溜めですが、その平均の時間差は1.2時間(72分)でした。特に差が大きい年代が20代でした。また、平日の睡眠時間はほとんどの年代でも6時間前半ですが、休日の睡眠時間は年齢が上になるほど7時間前半に変化する傾向があり、年齢が上の層が社会的時差ボケの時間が少ない特徴がありました。

また、この社会的時差ボケと肥満は非常に高い相関性があることが研究でも分かっています。

Social Jetlag and Obesity Till Roenneberg,1,* Karla V. Allebrandt,1 _Martha Merrow,2,3 and Ce´line Vetter1

 

・睡眠課題(1つだけ選択式)

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「一番解決したい睡眠課題は何ですか?」という設問に対して1択で回答いただきました。その結果、途中目が覚める中途覚醒が31.8%(1,947)、寝ても疲れがとれない熟睡困難が25.6%(1,567)、朝起きるのが辛い起床困難が17.7%(1,084)、日中の耐え難い眠気が17%(1,041)、寝付くのに時間がかかる入眠困難が7.9%(484)でした。

これを年代別に分けてみると、年齢を重ねるごとに中途覚醒が多くなり、起床困難は若年層に多い、寝ても疲れがとれない熟睡困難は全年代でまんべんなく分布し、入眠困難や日中の強い眠気においても一定割合存在するという傾向があります。

【考察】
一般的に年齢を重ねると中途覚醒は多くなるのが自然です。途中起きるからといって睡眠が悪いと決めつける必要はありません。途中起きたとしても、直ぐに入眠ができる、起きた時にすっきり感がある、日中の生活や仕事に支障がない、この3つが満たせていれば問題ない可能性が高いでしょう。

次に入眠困難ですが、多くの方が間違った認識をしていらっしゃるのが1分以内に眠れるという状態は決して良いことではありません。慢性的に睡眠が足りていない証拠ですので日頃から少しでも睡眠時間を増やすことを心がけましょう。正常な入眠はおよそ3〜10分くらいかけてまどろみを感じながら寝付くような状態が理想的です。寝ても疲れがとれない熟睡困難については後半で紹介する睡眠に影響を及ぼす生活習慣が関連しているので参考にしてみてください。

日中の眠気については、上述した機能障害に近い状態の場合には医療保健スタッフにご相談をされてみてください。一方で現代社会で働く以上、理想の睡眠時間を確保することはほぼ不可能ですので、夜の睡眠に影響を及ぼさない程度に適度に仮眠(パワーナップ)を取り入れることを推奨します。

 

・睡眠に影響を与えている仕事のストレスの有無

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「今の仕事で、眠りに影響を与えていると自覚するほどの強いストレスを感じていますか?」「特に強いストレスとなっていると感じる事柄があればチェックしてください。(主なもの3つ以内)」という設問に対して、21.1%(1,292)の方が「あり」と回答されました。そしてその要因を厚生労働省が実施している労働安全衛生調査でストレス要因調査で利用されているものを活用して、主な要因を3つ以内で追加質問したところ、仕事の量、仕事の質、対人関係がトップ3を占めました。続いて役職や地位の変化、仕事の失敗や責任の発生になりました。

【考察】
ストレス耐性には個人差がありますが、睡眠中の特に後半のレム睡眠の最中に心の整理やストレスの解消を行っていることが最新の研究でも明らかになっていることから睡眠時間を確保することがメンタル不調、うつ病、自殺などの労災を予防するには最も効果的な施策と考えることができます。

適切な睡眠時間も人それぞれバラバラですが、誰にとっても適切な睡眠時間を確保できる制度として勤務間インターバル制度の導入があります。EU各国では既に義務化されており、日本では2019年4月から努力義務化されました。2021年7月30日「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更が閣議決定され、厚生労働省は導入企業割合が現在4.2%のところを2025年までに15%以上に引き上げる目標を掲げていますがこの制度が産業現場で導入されると、終業時間から次の始業時間まで11時間が強制的に確保できるゆえに、この時間に本人の意思で自由に休息をとることが可能になります。同時に睡眠不足になると脳の扁桃体が過剰反応をして怒りっぽくなり、組織のハラスメント体質を助長してしまいますので、組織全体で睡眠時間を確保することは中長期的な目線に立ったときにはとても有効な仕組みと考えられます。一方でインターバル期間中に、仕事したり、睡眠の質に影響を与える飲酒や夜更かしなどをしてしまっては元も子もありませんので企業は従業員に対して注意喚起が必要です。

 

・睡眠に影響を与える生活習慣(睡眠衛生習慣)の実施度合い

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「自分の行動で週3日以上実現できているものをすべて選んでください。該当がない場合は「該当なし」を選んでください。」という設問に対して、回答された結果がこちらになります。

NG習慣としては、ベッドでのスマホ利用が68%(4,164)、夕方以降の仮眠が36%(2,204)、寝る直前の食事が44%(2,694)、寝る直前のアルコール摂取が36%(2,204)でした。

GOOD習慣としては、朝に光を浴びるが62%(3,796)、朝食を食べるが79%(4,837)、お風呂にしっかり浸かるが46%(2,817)でした。

【考察】
健康経営の施策として生産性向上に有効な方法として一番最初に掲載されているのが睡眠ですが、残念ながら現代のビジネスパーソンの多くは、どのような昼間起きている時の生活習慣がどのように睡眠に影響するのかといった、所謂、睡眠リテラシーを理解していらっしゃらない故に、会社やプライベートなどの優先順位が高いものが先に実行されてしまい、余った時間で睡眠をとるというように、社会の睡眠に対する優先順位は依然として低いままです。

それが場合によっては睡眠に悪影響を及ぼしている例も少なくありません。

なお、多くの方が知らない悪しき習慣としてはスヌーズ機能の利用です。スムーズを利用すると起床時に怠さや不機嫌を誘発してしまいますので、できれば目覚まし1回で起床するのが理想です。

 

【補足】

MySleepではご回答頂いたアンケート内容を鑑みて、睡眠判定をA〜Eでご提供しております。Aは睡眠は問題ないので自信を持ってください、Bは少し課題はあるが十分改善できる見込みあり、Cはこのままの生活を続けていると心配です、Dは医療保健スタッフへの相談を推奨というニュアンスでお示ししており、最後にEは既に睡眠薬やCPAPなどを利用されていて医療領域の方は判定対象外とさせていただいております。

こちらが今回の調査対象者6,123人の判定結果の年齢ごとの分布になります。

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この判定結果と睡眠時間の相関性を確認するとキレイに正の相関があることがわかります。つまり判定結果が良い人はしっかりと睡眠時間を確保されています。

加えて、こちらは睡眠衛生習慣の実施割合と判定結果の相関性ですが、ご覧頂くと一目瞭然で睡眠衛生習慣の実施割合が高い人ほど判定結果もよい傾向があることがわかります。

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■パーソナル睡眠レポートMySleepについて

自身の睡眠は大丈夫か?という多くの方が抱いている漠然とした不安に対して、5分の主観アンケートに回答するだけで、その疑問を解消できるツールです。特にメンタル不調の早期発見ツールなどで、多くの企業様で継続的にご利用頂いております。

サービスの詳細についてはこちらをご覧ください。

■過去の睡眠負債実態調査レポート